アレクサンダー・テクニーク教師トレーニング

トロンボーンの演奏と腰痛の関係 ~ BodyChanceの「アクティビティ」で学んだこと パート2

Sep 21, 2021

私は、トロンボーンの演奏をした後、いつも多少の腰痛がありました。

「がんばりすぎたかな♪」

毎回そう思うくらいで、たいして気にすることもなく、いつの間にか忘れて過ごしていたのです。

ところがある日、動けないほどの腰痛に襲われてしまい、回復して練習を再開するまで、約1か月後かかってしまったことがありました。

そのことをきっかけに、自分の演奏時の構え方を見なおすことにしたのです。

今回は、私の経験をもとに、トロンボーンの演奏と腰痛についてご紹介します。

 

 

楽器の構え方が演奏本番中のめまいの原因!?

実は、今回紹介するひどい腰痛事件の前に、BodyChanceのアクティビティレッスンを受け、演奏時の構え方についてアドバイスをいただいたことがありました。

レッスンを受けたのは、演奏会本番中に起こる、目の前がぐるんぐるんになってしまうことについてでした。

5年ほど前の演奏会本番当日に突然起こった、目の前がぐるんぐるんになる感覚。

しかも、演奏会が終わるとなにごともなかったように消えてしまう…。

幸い、演奏に支障はきたさなかったものの、いつしか私は、
「次の本番でも起こるのではないか」
という不安を持つようになってしまったのです。

何かの病気ではないかと考え、めまい外来に行っても、診断結果は異常なし

そこで、BodyChanceでアクティビティのレッスンを受けることにしたのでした。

 

講師の先生からいただいたアドバイスは、演奏時の構え方について。

私は、顎が上がった状態で楽器を構え、演奏をしていたことのです。

講師の先生が指摘してくださるまで、まったく気づかなかった私。

顎を上げるのをやめ、脊椎に頭が自然に乗るような感覚になってから、演奏は格段に楽になり、演奏前に注意することで、ぐるんぐるんはなくなりました。

 

そこで気づいたのは、
「顎を上げる構え方は、いつから? どうして?」
という、新たな疑問でした。

それを課題にしようとしていた矢先、前述の腰痛に見舞われてしまったのです。

このアクティビティレッスンについては前回の記事をご覧ください。

 

自分の構え方を観察してみる

私は、医師や整体師ではないので、トロンボーンの演奏と腰痛の因果関係について、明確に証明することはできません。

その代わり、というわけではありませんが、身体が自然な状態でないときに、なにかしらの不具合が起こる、ということをアクティビティレッスンで学びました。

なので、腰痛についても、トロンボーンを演奏するときに、なにか「自然ではない動き」をしているのではないかと考えたのです。

 

私は、徹底的に、自分自身の構え方を観察しました。

鏡に映したり、録画してみたり。

ふだん行っていることなので、あえて不自然だと思うことは、なかなか見つからないものです。

くりかえし、くりかえし、ゆっくり動いたりもしました。

 

その中で気がついたことがひとつ。

左腕の位置です。

 

肩の高さにまで上げようとして、右半身とのバランスがとれていないように思えました。

トロンボーンは、構えたとき、そして演奏時、右腕と左腕の役割がまったく異なります。

右手はスライドを持ち、右腕でトロンボーンの代名詞ともいえるスライドを、動かす役割です。

左手は楽器を本体のを握って持ち、左腕は構えたときと演奏するときに、楽器を安定するよう支える役割です。

そのため、楽器本体の重さのほとんどを、左腕で受けることになります。

 

私は、その左腕を、なぜか肩まで上げていました。

自分の構え方を観察することで、ようやく見つけた「不自然な動き」ですが、このことが腰痛に結び付くのは、もう少し先でした。

 

左腕を上げていた理由

腰痛の原因を探るべく、自分自身の構え方を観察し、左腕を半ば無理やり、肩の高さまで持ち上げて楽器を支えていた私。

なぜ、そんな構え方をしていたのでしょう?

 

ずっと以前に、ある先生に言われたことを思い出しました。

トロンボーンを始めて間もない頃、その先生から、左腕が床と水平になるようにして構えるように言われたのです。

その先生は、私がレッスンを受けている先生ではなかったのですが、勉強のために所属していた楽団の指揮者であり、元プロのトロンボーン奏者でした。

当時、トロンボーンの世界でもその先生のお名前は知られていたことがあり、お言葉通りに、左腕を水平にする構え方にしたのです。

たしかに、見た目はカッコイイと思いました。

なので、以降ずっと、その構え方をするようになったのです。

 

今思えば、私には無理がある構え方だったような…。

その先生は男性で、腕の筋力もおありだったので、現役時代ずっと、私に教えてくださった「肩を水平にする」構え方をされていたのだと思います。

そして、良かれと思って、ご自身がなさっていた方法をご指導してくださったのでしょう。

ただ、当時若くて、筋力のない私には合わなかったのだと思います。

そのことに気づくすべもなく、むしろ正しいと思って続けていました。

そのため、身体に不自然な動きを続けてしまったのかもしれないと思いました。

 

腰痛との関係

左腕を無理に上げ続けていることは、右半身に余計な力が入っていることにも関係していることに気づきました。

身体全体のバランスをとるため、右脚に重心をかけていたのです。

そして、右脚の不自然な「がんばり」は、右の股関節に負担をかけている、という事実に辿り着きました。

なぜそれがわかったかと言いますと、長時間の演奏の後、右脚の動きが悪くなったような感覚があったからでした。

 

オペラの本番の後。
昼~夜、通しのリハーサルの後。
休みなく個人練習をした後。

決まって、なんとなく右脚が重いような…。

まるで右脚の股関節をロックするかのように固めていたからに違いありません。

 

そういえば、前から通っていた整体師の先生が、あのひどい腰痛の施術してくださったとき、

「あなたの腰痛は股関節からきているね」
とおっしゃっていました。

その整体師の先生は、柔道整復師の資格を持っていらっしゃいます。

腰痛の前からお世話になり、信頼している先生です。

とはいえ、当時は、股関節と言われても、ピンときませんでした。

演奏と腰痛の関係を調べるうちに、ここにきて初めて、股関節が腰痛を引き起こしていることがわかったのです。

 

事実、私の腰痛は、身体の右側に感じることがほとんどでした。

演奏をするときに左腕に無理を強いる → 身体がバランスを取ろうとして、右側の股関節を固める

私にとって、股関節こそ、トロンボーンの演奏と腰痛を結びつける共通のワードでした。

一般的には結び付かない、左腕と右股関節。

トロンボーンの演奏と腰痛の因果関係がわかったのです。

 

あれ以降、起きられないほどのつらい腰痛は再発していませんが、習慣いうのは、なかなか抜けないようですね…。

今でもまだ、気をつけていないと、左腕を水平する構え方をしてしまいます。

右脚の股関節を固めてしまうことを自覚することがあります。

今後も、自分自身を観察して、演奏のときに注意することを続けていきます。

さらに、「顎を上げてしまう構え方」との関連についても考えてみようと思っています。

 

自分自身の探求は、楽しいものです。

自分が心地よい方に、望んでいる方に変化していくのは、すてきなことです。

BodyChanceのアクティビティレッスンで学んだことが、私にとって転機になったことは言うまでもありません。

あのとき、BodyChanceに行って良かった、と思っています。

 

まとめ

「アクティビティ」とは、「活動」を意味する英語。

BodyChanceでは、生徒がそれぞれ気になっている動作について、講師の方にアドバイスを受けるレッスンのことをいいます。

私は、アクティビティレッスンを受けたことがキッカケで、構え方を見直し、自分を観察することの大切さをまなびました。

身体に痛みを感じたら、それは、身体からのサイン。

異変を知らせる信号です。

 

私は、トロンボーンの演奏後に起こる腰痛という形で、身体からのサインを受け取りました。

そのサインを放置するか、向き合うかは自分次第。

楽器を演奏するのは、自分自身だからです。

自分の心と身体です。

身体は、ちょっとしたことがキッカケで、自然ではない動きを身につけてしまうものです。

ヒトの身体というのは、そういうものかもしれません。

私もそうでした。

 

ステージでの声枯れにより、俳優生命の危機を感じた、F・M・アレクサンダー。

逃げずに向き合ったことで、自分の身体の使い方の重要性を発見し、自身の悩みであるステージ上の声枯れを発見することができたのです。

後に様々な動きや活動に応用し、アレクサンダーテクニークとして確立した彼の功績は、たくさんの人々の悩みを解決に導きました。

彼が発見したことやそれを演奏に活かす方法は、BodyChanceで学ぶことができます。

BodyChanceの講師は、身体の痛みと心の葛藤に向き合ってくれます。

少しでも気になることがあったら、BodyChanceのアクティビティレッスン であなたの悩みを相談してみてください。

貴方・貴女ならではの音楽ライフを楽しむために!

いつでも楽器は、手にとってくれるのを待っていてくれます。

私達のパフォーマンスを楽しみにしてくださる方たちが、たくさんいらっしゃいます。

そして、あなたの他にも、色んな分野で学ぶ仲間もいます。他の人のレッスンを見るだけでも新しい気づきや発見がありますよ!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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