アレクサンダー・テクニーク教師トレーニング

私の楽器の構え方 ~ BodyChanceの「アクティビティ」で学んだこと パート1

レッスンを受けて良かったこと 演奏に活かす Sep 16, 2021

BodyChanceのレッスンには、「アクティビティ」というものがあります。

「アクティビティ」とは、「活動」を意味する英語ですが、BodyChanceのレッスンでは、生徒がそれぞれ気になっている動作について、講師の方にアドバイスを受ける場になっています。

今回は、

ある演奏会で私に起こったこと

についてのアドバイスをいただくため、BodyChanceのアクティビティで学んだことについてご紹介します。

 

そのレッスンで、

「実は楽器の構え方に起因しているかもしれない」

ということに気づいたときは、一種の驚きと感動がありました。

それでは、さっそくお伝えしたいと思います。

 

演奏会本番での出来事

今から5年ほど前のことです。

私は、あるアマチュアオーケストラからオファーをいただき、定期演奏会に賛助出演させていただくことになりました。

プログラムのメインは、チャイコフスキー作曲 交響曲第6番「悲愴」。

私が担当する楽器、トロンボーンが、大活躍する曲です。

何度か演奏したことはあり、とても大好きな曲です。

その演奏会、パイプオルガンが設置してある大きなホールでの本番ということもあり、オファーをいただけたことが、とても嬉しかったのを覚えています。

 

そして、待ちに待った本番。

第一楽章 後半、慟哭のようなfff(フォルティシシモ)

第二楽章 バレエ曲を彷彿とさせる、優雅なワルツのような5拍子

第三楽章 怒涛のような8分音符の応酬

第四楽章 終盤、嘆息のようなコラール

全編、トロンボーンの見せ場と聴かせどころが満載なのです。

オーケストラのメンバーも、私も、集中して、順調に曲が進んでいきました。

 

そして、最後の聴かせどころ、前述の第四楽章137小節目からのコラール。

強弱記号はp(ピアノ)から始まり、143小節目はpp → 144小節目ppp → 145小節目pppp→ 146小節目ppppp

pが5つのppppp(ピアニシシシシモ)!!

このコラールが、この交響曲の締めくくりなのです。

 

私は、1音1音、集中して集中して、音を出しました。

143小節目、144小節目、145小節目、うまくいった!

ここまできて、146小節目を演奏したとき、私は、今だかつてない状況に見舞われたのです。

 

ぐるんぐるんと、目の前が回るような。

何これ?

ヤバイ!

大丈夫、でも音は出てる。

2拍半、伸ばす音が、とても長く感じられました。

そのあと、4小節演奏したあと、トロンボーンは音を出さずに曲は終わります。

4小節演奏し、静かに曲の終わりを待つ間も、ぐるんぐるんは続いていました。

雛壇から落ちてしまうのではないか、と思うほどでした。
(実際、身体は揺れていなかったので、これがあくまでも私の感覚によるものだったいうことは、後でわかりました。)

 

曲が終わり、お客様からは盛大な拍手。

指揮者の先生が、トロンボーンとチューバのメンバーを称賛して、起立させてくださったのですが、そのときもまだ、ぐるんぐるんしていました。

 

ぐるんぐるん(めまい?)の原因が知りたい

不思議なことに、そのぐるんぐるん感覚は、演奏会終了後にはなくなり、ホールを退出する頃には、すっかり忘れていました。

あのとき、緊張はしていたかもしれませんが、ガチガチな状態ではなく、むしろ集中できていたと思います。

当日のプログラムは、
前プロ(1曲目の比較的短めの曲)も中プロ(2曲目のサブメイン的な曲)もチャイコフスキーの作品で、自分としてはハードだったのかもしれないな。

そう思うことにしました。

実際、その後に、個人練習をしているときや、リハーサルに参加したには起こりませんでした。

 

そんな、ぐるんぐるん感覚を忘れかけていたとき。

他の団体から演奏会に出演する機会をいただき、本番当日を迎えました。

ステージの上で、演奏が進む中、あのぐるんぐるん感覚が再び起こったのです。

それでも演奏は継続できました。

そして、前回同様、終演後は元通りに…。

その後に出演した演奏会では、ぐるんぐるん感覚が起きない本番もありましたが、
「また起こるのではないか」
と、常に気になるようになってしまいました。

これは、めまい?

と心配になり、自宅近くの耳鼻咽喉科に「めまい外来」を見つけて受診しましたが、異常なし。

「次の演奏会は、ぐるんぐるん感覚は大丈夫かな…。」
「この状態のまま、演奏活動をしていかなければいけないのかな…。」

いえいえ!諦めたりしません。

 

こういった演奏の悩みを解決するためのヒントを得られるのがBodyChanceのアクティビティレッスンなのです!

さっそく、レッスンを予約して参加することにしました。

 

「え?それだけ?」

レッスン当日。

私は楽器(トロンボーン)を持って、BodyChanceのベーシックのレッスンに参加しました。

その日の講師の先生は、プロとして演奏活動を行っている方でした。

すべてを受け入れてくださるような、柔和な雰囲気に乗じて、これまでのことを一気に話した私。

 

演奏会のこと。
ぐるんぐるん感覚が起こったこと。
演奏会終了後は、ぐるんぐるん感覚がなくなること。
めまい外来に行っても、異常は見つからず、原因がわからないこと。
演奏に支障はないものの、毎回、それを気にするようになってしまったこと。

今、思い出すと、選挙運動の演説のような勢いだったと思います(赤面)。

講師の先生は、そんな私の話を静かに聴いてくださったあと、
「それでは、その部分を演奏してみましょうか」
と、ひとこと。

え? 

それだけ? 

今ここでチャイコフスキーの「悲愴」を、ですか?

正直、意外でした。

心理カウンセリング(のようなこと)をしてくださるものと思っていたからです。

 

平日の午後だったためか、生徒は3~4人。

楽器の演奏をする人はいませんでした。

トロンボーンが出てきて、みなさん興味津々なのが伝わってきます。

そんなみなさんが、すぐ近くで「ガン見」する中での演奏。

演奏会本番とは違った緊張感があります。

 

でも、やるしかないですよね。

通常、講師の先生がいらっしゃる辺りに「ステージ」が設けられました。

そして私は、「ステージ」の椅子に着席。

チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」第四楽章の143小節目から演奏しました。

レッスン室に、トロンボーンの音が響いたあと、しばしの静寂。

そのときは、ぐるんぐるんは起こりませんでした。

 

何て言われるんだろう。

生徒のみなさんの拍手の後、講師の先生は、笑顔でこうおっしゃいました。

 

「もう一度、構えてみてください。」

 

楽器の構え方が原因かも

私は再び

え?

と思ってしまいました。

 

たしかに今は、問題となっている「ぐるんぐるん」は起こりませんでした。

さらにまた演奏するのでしょうか。

私は、講師の先生はがおっしゃる通り、楽器を構えました。

音を出そうと、楽器を自分に近づけたとき、

「ちょっと待ってね、さわりますよ。」

と、講師の先生が、私の頭に触れたのです。

 

そして、私の頭を前傾させるように動かし、その状態から楽器を持つように指示をしてくださいました。

そのときの感覚としては、ずいぶん「前に傾いているな」というかんじでした。

「その姿勢で、もう一度、演奏してみて。」

ええ~、ずいぶん前のめりなんですけどぉ。

いつもと違う状態を感じつつも、もう一度、143小節目から演奏しました。

 

あれ?

 

息が入りやすいかも。

pppppが楽だったかも。

演奏後の私は、そんな表情をしていたのでしょう。

 

講師の先生が、私の構え方について解説してくださいました。

演奏前、私はとても顎をあげていたのです。

再現してみると、下目使いに譜面を見るようでした。

頭を後方に傾けて、首を縮めているようでもありました。

頭で脊椎を押しつぶしているようでした。

それはアレクサンダーテクニークの理論である「頭が動いて身体がついていく」ということと正反対のことをしていました。

私が、前のめりだと感じた姿勢が、実は頭が脊椎に、自然に乗っている状態でした。

当初、違和感を感じていた「前のめり」も、講師の先生のアドバイスを受けながら行うことで慣れ、その後、他の音も出してみて、息が自然に入っていくのがわかりました。

めまいのようなぐるんぐるんは、私の構え方が原因だったかもしれないなんて!

顎を上げる構え方をやめることで、心身が楽になるのです。

 

以降、演奏前に構え方に注意することで、本番時のぐるんぐるんは起こらなくなりました。

さらに、次の課題が見つかったことも、今回のアクティビティレッスンの成果でした。

「顎を上げる構え方は、いつから? どうして?」

という疑問です。

前々からの私の構え方のクセのせい?
本番特有の雰囲気で、身体を固めていたせい?

そのことを知りたくて、自分自身の構え方を見直したとき、私はあることに気が付いたのです。

今回はここまで。

私が気づいた あること は次回お伝えしたいと思います。

 

まとめ

演奏中に感じる違和感、異変。

不安になりますよね。

本番だから、のひとことでは片付けられない場合があります。
私の場合は、楽器の構え方に原因があるかもしれないとわかり、そのことで心身ともに解放されました。

アレクサンダーテクニークの理論を発見した、F・M・アレクサンダーも、自身のステージでの声枯れを放置せず、向き合ったことで、この理論を発見することができたのです。

彼の功績で、たくさんの人々の悩みが解消されました。

 

現在は、BodyChanceで、アレクサンダーテクニークを学ぶことができます。

何か変だな、思ったら、BodyChanceのアクティビティレッスン であなたの悩みを相談してみてください。

講師の先生が、一緒に向き合い、アドバイスをしてくださいます。

 

いつでも楽器は、手にとってくれるのを待っていてくれます。

私達のパフォーマンスを楽しみにしてくださる方たちが、たくさんいらっしゃいます。

貴方・貴女ならではの音楽ライフを楽しみましょう!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 「アレクサンダー・テクニーク」は全世界で取り入れられている脱力&緊張解消メソッドです。

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