アレクサンダー・テクニーク教師トレーニング

ピアノ演奏時の辛い腰痛の原因は?からだを知ることからはじめる腰痛脱却への道!

日常に活かす 演奏に活かす Sep 28, 2021

音楽家と痛みは切っても切り離せない腐れ縁のようなものです。

特に腰痛は楽器を演奏する方にとって、肩こりと並んで一番身近なお悩みのひとつではないでしょうか?

「ちょっと腰が痛いな」を放置して、よくない身体の使い方を長年続けていると、演奏自体が難しくなってしまうかもしれません。

健やかに、そして長く楽器を続けるために、腰痛と向き合ってみませんか?

 

腰痛は「しょうがない」ことではありません!

腰痛は、多くの方が抱える重大な悩みです。
私の母も、よく「腰が痛い」とぼやいています。
そのぼやきにつづくのはいつも、「もう歳だから仕方がない」という言葉です。
しかし、本当にそうでしょうか?

確かに年齢を重ねることに、腰痛を訴える人は増えていきます。
しかし、ただ年齢を重ねただけでは、腰は痛くなりません。
適切な体の使い方ができている人は、痛みから解放され、腰痛などの悩みとは無縁の健やかな生活を送っています。
腰痛が教えてくれるのは、あなたが上手に体を使えていないという事実と、長年腰に負荷を与えてしまっていたことです。

つらい腰痛から脱却するために、身体の仕組みやあなたの習慣などから、原因を探ってみましょう。

 

腰痛脱却への道① 脊柱を知る。

腰痛脱却のために、まずは脊柱(背骨)の仕組みについて少し知っておきましょう。

脊柱は、私たちの体重を床やいすにつたえてくれています。
私たちが体を保っていられるのは脊柱のおかげと言っても過言ではありません。

しかしだからこそ、適切な使い方ができていないと、腰や肩をはじめあらゆるところに影響が出てきてしまいます。
間違った体の使い方からくる脊柱への負担が、たまりにたまって慢性的な腰痛を連れてきてしまうのです。    
脊柱を正しく使うために、身体の中でどんなことをしてくれているのかを探っていきましょう。

脊柱が身体のために担っている役割は大きく二つ。

上半身を支える柱的な役割と、脊髄やその周りの神経を守る役割です。

 

5~6キロほどの重さがある頭を含む、とっても重い上半身。

胴体にはデリケートな内臓もたくさん詰まっているので、しっかり支えておかなければ体に大ダメージが起きてしまいます。

脊髄やその周りには、一度傷ついてしまうともう元の働きができなくなるような重要すぎる神経がたくさん集中しています。

こんな頑張り屋さんの脊柱のことを知らずに、誤った使い方を続けてしまっては、痛みや不調が出てくるのも当然ですよね。

 

体の中で重要なポジションを任されている脊柱は、椎骨と呼ばれる骨がたくさんつながってできています。

積み木のようにまっすぐに積みあがっているのではなく、ほどよくカーブしています。

理科室などにおいてある人体模型などで見て知っている方が多いのではないでしょうか?

具体的には4つのカーブがあり、今回のテーマである腰の部分、腰椎は3番目のカーブにあたります。

腰椎のあたりは、体の背中側から、お腹側に向かってカーブがかかっています。

このカーブがあることで、脊椎は身体にかかった衝撃を吸収したり、分散させたりして、より大きい負荷に耐えることができます。

このおかげで私たちは、歩いたり走ったりジャンプしたりしても、何ら問題なく生活をすることができるのですね。

もしこのカーブが過剰になってしまったり、まっすぐになってしまったりすると、脊柱は本来の働きができず、身体のいろんなところに不具合が出てしまいます。

 

しかし、私たちはこのことをよく忘れてしまいます。

集中して演奏している時、腰や背中を丸めた状態を長く続けてしまっていませんか?
背筋を伸ばしているつもりが、過度に背中側に反る動きをしていませんか?

現に今私自身も、パソコンにかじりつくような前傾姿勢をとってしまっていることに気づきました…。

集中していると、なかなか気づきにくいですよね。

 

こういった「カーブを無視する習慣」は、脊柱本来の働きを大幅に制限してしまい、身体にかかった重さや負荷をうまく分散できず、腰椎にとっても負担がかかります。

少し身体のことが分かったところで、今度はあなた自身がどのように体を使うかを考えてみましょう。

 

腰痛脱却への道② 座って演奏する時のことを考えてみる

ピアニストをはじめ多くの楽器奏者の方は、座って演奏する機会も多いと思います。
長時間ピアノ椅子に座りっぱなしで練習し続けることも日常茶飯事ですよね。

しかし、自分がどのように座って、どのような姿勢でいるのかを知っている人はあまりいません。
ここでは、普段のあなたの座り方と、身体のことを考えたよりよい座り方を比較してみましょう。



①いつも演奏する時に使っている椅子を鏡の前においてみてください。

②目を閉じて、鏡を見ずに、今から演奏するつもりで椅子に座ります。
ピアニストなら鍵盤を想像しながら座ってみてください。
管弦楽器などは実際に手にもってみてもいいですね。

③座ることが出来たら目を開けて、自分が座っている姿を確認します。
きちんと座ってるつもりでも、なんだか傾いていたり、頭の位置が偏っていたりします。

このとき、焦って修正はせずに、「自分が座っている時どのような姿勢をとっているか」「どんな癖があるのか」に気づいてみてください。
鏡を見てわかる癖はもちろん、身体のことに注目しないと気づけなかった、普段意識していない癖のことにも気づけるとより良いですね。
例えば、多くの人は座っている時、坐骨にかかっている体重が左右バラバラです。
あなたはどうですか?

④気づいたことを覚えておきます。
無理に修正しようとせず、感じたことや気づいたことを覚えておきます。
無理に修正しようとすると、別のところに負荷がかかってしまう可能性もあるので、「なんだか頭が左に傾いているな」「なんとなく全体的に右に偏っているな」と、気づいたことを確認するだけでOKです。

このワークをしてみると、座っている時の自分の癖がなんとなく見えてきたのではないでしょうか?

⑤よりよい座り方を実践する。
もう一度立ち上がり、こんどは「よりよい座り方」で座ってみましょう。
おしりから「どんっ」と重力に任せて倒れこむように座らずに、膝から体を折りたたむようにバランスを保ちながら座っていきます。
このとき、坐骨をゆっくりと座面につけるように意識しましょう。
坐骨は、座るときに体の体重を椅子に伝えてくれる、おしりのとんがった骨です。
このように座ると、脊柱への衝撃が最小限に抑えられるうえ、坐骨に平等に体重をかけることができます。

⑥もう一度鏡を見てみる。
その状態でもう一度鏡を見てみましょう。
先ほどとかわったところはありますか?
さきほどと同じく、修正はせずに、なにが起きているかに気づいてみてください。

 

 

⑤で紹介したよりよい座り方は、立った状態のバランスを保ちながら座っていく方法です。
よりよい座り方と比較して、あなたには普段、どんな癖がありますか?
身体のことを知ったうえで、自分の癖に気づくだけで、あなたの身体は変化します。

 

身体のことを考えることは音楽人生を考えること。

ピアニストの方をはじめ、器楽奏者は座って演奏する機会が多いですよね。

腰痛はひどくなると座っているのもつらくなり、演奏もままならなくなってしまいます。

身体が出してくれているSOSをごまかさず、身体の使い方を見直すことは、あなたのこれからの音楽人生をよりよく、健やかなものにすることにつながります。

まずは、身体のことを知ることから始めてみませんか?

 

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