キャリア・シンキング

 アレクサンダー・テクニーク

演奏活動という主軸に、演奏パフォーマンスを向上させ、専攻楽器の分野を超えて・演奏活動以外でのキャリアを構築するために。

レッドオーシャンからブルーオーシャンへ。

ボディチャンスの在校生・卒業生には、多くが、音楽大学を卒業後に学びにくる方々です。その方々は、学生時代に知っていれば、学生時代に通うことが出来ていれば、もっと早くいろいろな問題を解決し、自己変容を成し遂げられたと語っています。

 

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アレクサンダー・テクニークと音楽

アレクサンダー・テクニークは、楽器奏者や歌手がストレスや怪我の可能性を減らして演奏する助けをしてきた長い歴史があります。演奏家は、あらゆる職業の中で最も複雑で要求の厳しい身体の動きを継続して反復する機会が多いのです。近年、反復運動過多損傷(RSI)という用語が一般的に使用されるようになりましたが、ミュージシャンは常に同じ複雑な筋肉の動作を何度も繰り返すという危険に直面しています。

アレクサンダーテクニークは、音楽家が楽器を演奏したり歌ったりする際の物理的な動きの質を向上させ、その結果として演奏ひいては音楽自体の質の向上にも貢献してきました。例えば、バイオリニストの肩こりと腕は心地よい音の邪魔になります。歌手の首やあごがきつくなると、声の響きが弱まります。アレクサンダー・テクニークは、演奏家が身体の過度の緊張を解放するのを助けることにより、体を流動的で活気のある動きへと導き、緊張や硬直しない体の演奏へと導きます。

何年にもわたって、多くの著名なミュージシャンがアレクサンダー・テクニークを取り入れてきました。たとえば、ユーディ・メニューイン、ポール・マッカートニー、スティング、ジュリアン・ブリーム、ジェームズ・ゴールウェイ、指揮者のエイドリアン・ボールト卿などです。

クラシックのイメージが強いですが、プログレッシブ・ロックで代表される King Crimson のロバート・フリップ氏もギターサークルでアレクサンダー・テクニークを紹介し取り入れています。

また、ニューヨークのジュリアード音楽院、ロンドンの王立音楽大学(写真参照・ホームページより掲載)、ボストン音楽院、トロントの王立音楽院、および他の多くの音楽学校、大学などでも、授業の一環として取り入れられています。

英国王立音楽大学(RCM)の導入後の評価(抜粋)

このメソッド(アレクサンダーテクニーク)は、私たちがこれまで知る事ができた中で、コミュニケーション実現するという音楽家の問題に対して最も最高のものであり、音楽家としての訓練の基礎に取り入れられるべきである。(In our opinion, this approach is the best means we have yet encountered for solving the artist's problem of communication and should from the basis of his training.)

またアレクサンダーテクニークは、それまで難治と思われていた健康問題を抱えていた学生達にも大きなサポートとなった。フォーカル・ジストニア、手根管症候群、反復運動過多損傷を抱えた学生達の症状が、音楽院の一流のアレクサンダー教師達のおかげで解消されていった。 (Serious music related health problem e.g. focal dystonia, carpal tunnel syndrome and repetitive strain injury have been successfully remedied for students with help form our first rate team of Alexander teachers.)

毎週数時間、授業があることで学生達がアレクサンダーテクニークの必要性や可能性を自分のために感じ取ってくれているのがとても喜ばしい。さらに、我が王立音楽大学の学生たちの中で数多くがアレクサンダーテクニーク集中プログラムを学び、さらに卒業後アレクサンダーテクニーク教師になるための道に進み、いまや未来の音楽家達を教え助けている事に大きな喜びを感じている。(I am also very happy that we have several hours each week of provision targeted at students who see the potential or simply feel the need for personal Alexander attention. We are proud of the extraordinary number of musicians that have started their intensive study of the Alexander Technique at the RCM and gone on to train as Alexander teachers and are now teaching the musicians of the future in various institutions and the public domain.)

コリン・ローソン ディレクター RCM

RCMでのアレクサンダー・テクニークのクラスは非常に好評で、需要が高いため、しばしばキャンセル待ちが発生する(demand is high, so there is often a waiting list. )とホームページには案内されています。

演奏との関係

私たちの演奏活動は、自分の意思でもって体を動かし演奏していると思いますが、実はその直前に無意識の習慣に支配されているのです。

マックス・プランク研究所の研究者がfMRIを利用して行なった脳研究によると、被験者が判断を下す7秒も前に、脳活動でその判断の内容を「予告」できるという。「意識的な選択」や「自由意志」の前に、脳がすでに活動を行っているという事です。

こうしたことは、無意識の習慣の犠牲と呼ばれ、そもそも演奏がうまく行かない根本的な始まりを見逃しているのです。そして、始まりを見ずして、試行錯誤して練習を積み重ね、無意識の習慣の犠牲者(痛みで長時間演奏できないなど)となっていくのです。それは、楽器の構え方(姿勢)から始まっているのです。

そこでアレクサンダー・テクニークは、無意識の習慣への気づき、不要な習慣への抑制(インヒビション)、体を使うため脳から筋肉へのメッセージを効果的に行う方向性(ディレクション)を身に着けていきます。

一見、アレクサンダー・テクニークはボディワークの一種ととらえる人もいますが、自己(体と心)の使い方を再教育するためのプロセスなのです。結果として、本来もっている能力を活性化させます。

頑張った分だけ、見返りが欲しい。でもうまく行かない。
アレクサンダー・テクニークは、頑張らない分だけ、見返りがある。「何をするか」より、「何をしないか」を学び、本来のすでに備わっている自分を生かし、余計な無駄を省くアプローチをとるようになります。

キャリアとして

自分の演奏技術の向上としてアレクサンダー・テクニークを取り入れ実践することはもちろんですが、職業としての付加価値として、キャリアとしている人もいます。

例えば、ボストン交響楽団など著名プロオーケストラが加盟する「交響楽団とオペラミュージシャンの国際会議」の調査で、「パフォーマンスの不安に対処するために何か取り入れていますか?」の質問に、30%のプロ演奏家がアレクサンダー・テクニークを取り入れいてると回答しています。海外で著名なプロオーケストラの奏者の30%に当たる人が、あがり緊張・痛みなど演奏活動に支障をきたす問題を解決する方法としてアレクサンダー・テクニークを利用しています。自身が同じようにプロ演奏家である場合は、身近な場所に、演奏や演奏指導以外の新たなキャリアが存在しています。

レッドオーシャン中にブルーオーシャンを見出すことです。

実際、ボディチャンスも音楽大学への講師派遣、また、卒業生も音楽大学での講師として活躍しています。いわゆる一般的にいう演奏指導という枠組みを超えた新たな付加価値を提供していっています。自分の楽器の奏法指導とは別に、中学・高校・大学や社会人のブラスバンド部全体の演奏の質の向上のための指導をされている方もいます。

もちろん、アレクサンダー・テクニークは自己の使い方を変えることによる、痛みや、あがり・緊張という伝統的な分野でも活躍できます。体を使うすべての人が対象となります

ボディチャンスも、上場企業の研修業務を委託されて実施してきました。ここでは、健康経営という分野において、労働者のプレゼンティーズム(生産性)とアブセンティーズム(欠勤の問題)にアレクサンダー・テクニークを応用しています。

 

  • 自己の演奏パフォーマンスの改善・向上
  • 声楽・楽器・ジャンルといった種別を問わず、プロ演奏家への専門的サポート
  • 指導者としての付加価値
  • 留学を考えている人の一つのアドバンテージ(海外の著名な大学ではアレクサンダーテクニークがすでに取り入れらています。教師資格を取得して渡欧・渡米)
  • 体を使う人すべてが対象(肩こり・腰痛・体の使い方・あがり・緊張など)

 

20人のボディチャンス

在校生・卒業生の体験談

プロミュージシャン、指導者が、アレクサンダー・テクニークをキャリア形成に取り入れた体験談。

体験談を読む

ボディチャンスで学ぶメリット

ボディチャンスの在校生・卒業生には、多くが、音楽大学を卒業した後で学びにくる方々です。その方々は、学生時代に知っていれば、学生時代に通うことが出来ていれば、もっと早くいろんな問題を解決し、自己変容を成し遂げられたと語っています。

BodyChanceアレクサンダー・テクニークプロ・教師養成コースでは、100名を超えるアレクサンダー・テクニーク教師を世に送り出しております。

多彩な講師陣と多様性

  • 海外で活躍されている著名な教師を始め(授業料に含まれる)、それぞれの専門分野を極めた複数の日本人教師陣から授業を受けることができます。
  • 生徒の属性も多様です。新しい価値観・世界観・ネットワークを構築(自分のウェブページの作成を手伝ってもらったり、コラボして演奏したり等)できます。

活躍できる素養を身に着ける。

  • 進捗に応じて、ワークショップの開催や、生徒を実際に集客しレッスンを提供し担当講師にレビューを受ける実習生レッスンを通して、アレクサンダー・テクニークを将来のキャリアとして機能・活躍することを卒業までに行います。

自分に合わせたスケジュール設定が可能

  • 1学期は4か月間で、自分のスケジュールや置かれた状況に応じて学期毎に休学を自由に取ることが可能です。年末年始が忙しい場合は3学期(12月から3月)のみを休学することも可能です。
  • 4ヶ月間という期間限定で学ぶことも可能です。
  • 授業は、平日・週末ともに開講し、スタジオ授業の同時中継により遠隔地の方などは家から受講することも可能です。授業は一回完結型ですので、前回の授業の続きなどの制約もありません。
  • 自身の余裕に合わせて、多くの授業を消化して早く卒業したり、仕事や演奏活動などと両立しながらゆっくりと卒業したいなど、その時々に応じて履修の仕方を柔軟に変更することができます。
  • 年間スケジュールが発表されているため、1年の予定をあらかじめ立てることができます。

学費の支払い方法

  • 学期毎の学費を月割りにし、毎月銀行引落でお支払いいただけます。 学期毎の一括払いなどの大きな負担はありません。

2022年4月開講クラスお問合せ。

アレクサンダーテクニークについて、プロコース・教師養成コースの4月開講クラスの、体験クラス・ワークショップ・詳細・特典等のが決まりましたらメールにてご案内させていただきます。ぜひ事前にご登録ください。

お問合せお申込み

以下の項目をご記入の上、お申込ください。追ってコース開講のお知らせやスタジオ見学・説明会・入学特典などのご案内を随時差し上げます。2月25日まで参加特典付きの随時相談説明会を実施中です。早めにお申し込みください。

アクティビティレッスン

ボディシンキング・アプローチ

アレクサンダー・テクニークの考え方にもとづきながら、体の構造と動きについて学びます。単なる解剖学の知識だけでなく、それを自分自身の体にあてはめることに重点を置きます。

多くの人が真実の構造を知らずに、自分なりのあいまいなイメージで体を使ってしまいます。これにより、自由な動きが抑制されたり、体に無理な負担がかかり、時には体の痛みとなって表れたりします。それを正しいものに修正することで、自らの体の動きも楽になることができます。

シンキングボディ・アプローチ

「考え」や「意識」が体の動きにどのように影響するかを学びます。そして、アレクサンダー・テクニークを用いた自分自身の意識の仕方 ー F.M.アレクサンダーのいう「建設的で意識的なコントロール」、「ミーンズウェアバイ(目的に至る手段)」を身につけていきます。

ハンズオンワーク・アプローチ

「ハンズオン ワーク」と呼ばれる指導法は、、4年以上の教師養成課程を卒業した教師が生徒に触れながら行うレッスンです。
気づきや身体バランスの変化を、体の反応を見ながら動きをサポートしていくことです。これによって、自身に気づきを促し、より良い動きへと促します。また、マッサージや矯正器具といった外部からの刺激を与えることではないので、穏やかに持続性のある体の使い方を実践を通して身につきます。

 

レッスンを通して、①体全体が協調して働くために頭と脊椎の関係「プライマリーコントロール」を理解し、②自分に益をもたらさない無意識の悪い癖や習慣を抑制する「インヒビション」、③自分自身に建設的なプロセスを明示し動きをより有益にするための「ディレクション」を経験していきます。

 

例えば、動きのための姿勢が(演奏の姿勢)変わると、肉体的な緊張を解きほどき、心の姿勢も変わります。自分への気づき、感じ方、意識の向け方により、思考パータンに変化を及ぼし、現状に対する認識、変化に対処する心構え、実現への意識の向け方が変わる。結果として、今までの自分の殻(思考パターンと行動)を破り、新しい結果への道筋を作っていける基礎となります。

変化の過程で、新しい「わたしの使い方(ココロとカラダ)」を身に着け、より大きな変化への一歩となっていきます。

 

KBさん ホルン

管楽器プレイヤーという専門とアレクサンダーテクニーク教師という専門を融合させた新しいキャリアをいま準備しています。
ホルンの技量もどんどん伸びていき、プロ奏者としての活動ができるまでになりました。

 

SJさん フルート

現在アレクサンダー・テクニークを使って教え始めたのとどう違うのかな、と考えました。

まず最も大きな違いは、生徒さんがどこで無駄な緊張や頑張りをやっているのかが「見える」ことで、それを「やめる」アドバイスができることです。

カラダのある部分で頑張る緊張が見えることもあります。演奏の最中に難しいところに差し掛かると見える緊張もあります。そういったものが不必要で、やめてもちゃんと吹けることを知った生徒さんは「楽に」吹けるようになります。

すると、音作りがよりシンプルになってくるのが分かります。そこから先の教え方の基本的な姿勢は、昔とそう違わないことを思い出しました。でも昔は生徒さんが良い音にたどり着くまで、もっと時間がかかっていた気がします。

アレクサンダー・テクニークで、やりたいことがもっと「楽に」「自由に」やれるようになる。

生徒さんの成長ぶりを拝見するたびに実感しています。アレクサンダー・テクニークを使って演奏する人をどう導くか。

これが私の仕事であり、強い関心を持って探究していることです。

 

KIさん サックス・フルート

自分はサックスとフルートを大人になってから趣味として始めました。習うにつれだんだんと演奏できる曲が増えていきましたが、次第に自分のサックスの音に不満を持つようになりました。具体的にいうと音が薄っぺらい感じでした。音程が悪いわけでもなく、音量も出ていたので吹き方に大きな欠陥はないと思っていましたが、何が悪いのか分からず悶々としていました。


最初のレッスンで頭と脊椎の関係性について学びました。まず、これで音が変わりました。今思えば首に力が入っていたことが悪影響を及ぼしていたのかもしれません。あと目標の音の厚さは、腹筋の考え方を変えるプランを提示してもらい、同席されていた方にも響きが増えたといわれ無事解決しました。正確には欲が出てほかに使える体の部分がないか考え中です。

 

アレクサンダー・テクニークからの学び

昭和大学名誉教授(脳神経外科)
BodyChance 医学顧問

藤本 司

 

「脳(身体)と心」の理解を進めて行きたい

昭和大学を2年半前に定年退職した直後からアレクサンダー・テクニークと出会えたのは幸運でした。脳神経外科医として手術を中心に患者さんと向き合う多忙な毎日の中、定年退職後、時間的に余裕が出来たらじっくり取り組んで行きたいと考えていたことがあります。その一つは、患者さんを、病気のみではなく、身も心も含めた全体、すなわち病人を診るように心がけてきましたが、十分納得のいくものではなかったので、それができるように「脳(身体)と心」の理解をさらに進めて行きたいということ。もう一つは、脳神経外科には、頭痛が強くて脳腫瘍や脳卒中を心配した患者さんが多数こられますが、手術をしなければならないような人はそのごく一部であり、多くの患者さんは項を中心に後頭部から背中にかけて筋緊張が亢進している人達でした。この緊張は、精神的な緊張や身体の姿勢や使い方によるものであり、この緊張をとるにはどうしたらよいかを明らかにしたいということでした。

 

人間全体を対象とし、身体の中に存在している能力を引き出す

アレクサンダー・テクニークと出会い、その目指している方向が、「人間全体を対象とし、身体の中に存在している能力を引き出して、身体をより機能的にすること」だと感じ、自分が目指している方向と一致していると直感しました。BodyChance 主幹の Jeremyさんが理解を示して下さり、いろいろなレッスンに自由に参加させていただく機会を得、学びを深めていくと同時に、医学顧問としてお手伝いもしてきました。アレクサンダー・テクニークに来ている人達は、それぞれ問題意識を持ちながら、それを乗り越えていく道を求めている求道者のような人が多いことも魅力的でした。

わたくし自身も、自分の姿勢や動き方を大分意識するようになり、ヒトの姿勢や動きを意識して見るようになっているのに気付きます。患者さんを診察する場合も、心と身体の関係の理解や、姿勢・動きと症状との関係をみる見方が大分変わってきているのに気付きます。またしばしば、友人、知人からアレクサンダー・テクニークについて聞かれたりしますが、その魅力を実感を伴って話せるようになってきています。

 

アレクサンダー・テクニークは1890年代にオーストラリアの俳優フレデリック・アレクサンダーによって開発された方法で、普段意識せずに行っていた姿勢や動き方などを、意識下で心身の調整を行い、自然な姿勢、自由な動作を実現させる方法だと理解しています。彼は舞台に立つと声がかすれてしまう体験を繰り返していましたが、なかなか当時の病院では治療してもらえず、自ら解決しようと自らを観察しはじめ、長い試行錯誤が行われました。そして舞台の上で声を出そうとする時に首の筋肉が緊張してしまい、頭が後ろに反り返り、喉が締め付けられて呼吸を妨げていることに気づきました。彼は自分の癖になっていたことを治す方法をやはり試行錯誤して身につけ、声が良く出るようになり、さらに全体的な心身の健康も向上しました。

彼は、厳しい状況やストレスがかかる状態で現れがちな、習慣になってしまった姿勢の癖や反応がパフォーマンスを完全にはさせにくくしているし、さらには全体的な心身の健康にも有害に働くと考えました。すなわち「心のあり方と身体がお互いに強く関係しあっている」ことを認めました。そしてこの長年身に付いた筋肉の緊張と身体の誤った使い方を改めるには感情に動かされてしまわずに、意識的に動作をコントロールして行くことであると気付きました。ここでいう意識とは、「自分が動いたり、話したり、感じたりしていることに気付いている」ということです。実際に、アレクサンダー・テクニークはパフォーマンスを向上させるということが認められ、俳優、音楽家、ダンサー、運動選手らに広く利用されており、また痛みや筋骨格系の異常、あるいはストレスに伴う症状の管理に役立つということも認められてきています。

 

生活の中の動作中に頭・首・背中の「バランスが取れた関係」を維持する。

アレクサンダーテクニークでは生活の中の動作中に頭・首・背中の「バランスが取れた関係」を維持し、頭の動きがリードするということが中核になっています。身体の他の部分の動きがこれについていくということで、非常に重視され、プライマリーコントロールと言われています。子供の頃は自然に出来ていた身のこなしや筋肉間の協調も、大人になるに従い悪い姿勢の習慣や反復的な動作、積もったストレスによって妨げられ、本来の姿では出来なくなってきます。ストレス、恐怖に出あった時、首をすくめるのは自然の反応です。これは身を守るために生体が獲得し、備わっている反射的なものと言えます。これが強く出すぎてしまうこと、一時的でなく長く持続してしまうことが問題で、障害が生じてくるのです。

ヒトでは前頭葉が非常に発達し、もともと備わっている本能に従うより、新たに出来あがってきた慾望(認められたい、勝ちたい、金持ちになりたい、生きがいの追求、などなど)によって行動することが多くなりました。その結果、身体からの指示がわからなくなり、結果的には無理が蓄積しがちになります。心身ともに緊張が亢進し、筋肉の緊張が習慣的になると頭・首・背中の関係のバランスが崩れ、猫背や背中が反るなどの問題が生じてきます。この習慣が定着してくると、悪い姿勢が全身の機能にまで影響するようになります。

アレクサンダー・テクニークでは姿勢と動き方を意識的にコントロールし、徐々に本来の機能がでてくるようにしていますが、患者さんの診察時には頸椎のレントゲン写真などを見せながら、現在の状態に関する理解を深めていただくようにし、姿勢、動き方の話に加え、肩、首、腰のストレッチをすすめています。それを行う為にかえって新たな緊張を生み出さないように注意すればとても効果的です。筋肉の血液循環が改善し、変化を早く自覚出来、持続しやすくなるからです。頭・首・脊椎のバランスが取れた関係を生みだすために、頭頂部(頭頂部で上外側へ突出しているあたり)を上方に引かれる感じをもつと、押し上げる感じなしに、力みなくバランス良く項を伸ばすことができます。

 

ヒトの体は、何かを意識したり、思ったりするとそれが身体の緊張、すなわち動きに直接連動して動きます。それで身体の構造や動きをどのようにイメージするかが動きに大きく影響してきます。身体の構造や動きをどうイメージしているか、これは頭の中に描いたもので、ボデイマッピングと呼んでいますが、これが、身体の構造や、本来の動きにマッチしたものでないと、実際の動きと、本来の機能・動きとの間に食い違いが生じ、異常な緊張を生みだしたり、無理がかかってきます。たとえば、腕を動かす場合に、肩関節で動かしていると思うと肩関節部を固定する緊張が生じ、腕の動きも不十分でスムースではなくなります。腕がついた肩甲骨が動き、一体になって腕が動いているというイメージを持って行う場合とでは動きや緊張に大きな差が生じてきます。これは生体に備わっている動きを最大限に、目的に沿った動きを行うために大切なことです。アレクサンダー・テクニークの先達たちが、「これが最も身体にあった姿勢や動きだ」ということをいろいろ述べておりますが、まだまだ全部の動きをカバーするものではありません。何が本来の適切なボデイマップなのかは行って見て、緊張感がとれ、動きがスムースで疲れもしにくいということで判断して行かざるを得ないと思います。動物の姿勢や動きには、本能的な見事な姿勢や動きが保たれていて、しばしば驚嘆させられ、大変参考になりますが、やはり「ヒトではどうか」と言う事を常に考えていく必要があります。爬虫類以前にさかのぼっての歴史がヒトの体に引き継がれていると考えられますが、長い年月をかけて環境に適用するように、すなわち生存して行けるように変わり、それが遺伝情報に組み込まれ、さらに固定されてきました。そして動物とは大分変わってきています(頭蓋骨と脊椎の関係でも、ヒトとチンパンジーですら大分違います)そして、環境の変化のスピードはすさまじいもので体の変化が追いついていけてない面があります。心身をもったヒトをさらに良く知ることで対処の仕方もより適切になっていくのだろうと思います。

 

アレクサンダー・テクニークは心のコントロールにも役立つ

アレクサンダー・テクニークは心のコントロールにも大いに役立つと感じています。身体の緊張がとれて心が安定したために、意欲が戻ってくると言う事も大いにありますが、直接的に、心の動揺や悩みを乗り越えていくのにも役立ちます。私たちは常に多くのストレス下に生活しており悩みはつきません。この悩みには、準備してきたパフォーマンスが、直前になり頭が真っ白になって動けなくなってしまうようなものから、仕事のこと、生活のこと、対人関係の悩み、病気に関する悩みと途切れることなく続きます。悩みがある時には、それに関係した過去のこと、これから先のことなどが、しかも感情を伴って押し寄せてきて、ますます不安や悩みは大きくなってきてしまうことは良く経験することです。

ヒトは本能に従ったままで生きているのではなく、脳の発達による、新たな慾望や望みをみたそうと自分を叱咤激励して生きていると言えるでしょう。意識が持てて(先に述べたような意味ですが、これはヒトだけです)、記憶することが出来、未来像を描けるようになり、驚異的な文化活動をするようになりましたが、身体に備わっている本能的な事に鈍感になってきてもいます。より良く生きるのに、過去や未来のことを考えられると言う事はすばらしいことなのですが、これが感情を伴って大きくなりすぎたり、いつまでも引きずっていてそれに捕らわれていると、悩みは膨れ上がります。過去や未来のことは、役立つ範囲で使い、あとは手放して現在を生きていくようにすると、大きく膨らんだ悩みは大分小さくなります。そして、問題を受け止め、新たな方向を見つけだし、意識してその方向への歩みを続けることにより、乗り越えて行けるようになります。この新たな方向を見つける時には、「必ず見つかる」という事、そして「自分は守られているのだ」という信念を持って向う事が大事です。アレクサンダーテクニークには心理学的にうなづけることが多数生かされています。

 

今はこのような事を考えたり、感じたりしており、アレクサンダーが見出したことをもっとよく知りたいとも思っています。アレクサンダーが目指していてなお実現しきれなかったことを今後もBodyChanceが中心になってさらに明らかにし、実現されていかれることだろうと期待が膨らみます。

英国医学雑誌に掲載された調査結果(2008年8月)



2008年8月19日付けで、British Medical Journalという英国の医学雑誌で、 「アレクサンダー・テクニークは慢性的な腰痛に長期的な効果がある」とする調査結果が発表されました。

以下に概要を示します。また、整形外科医の加藤良一先生の解説もあります。

 
調査結果の概要

579人の慢性的な腰痛患者に対して、(1)通常の医療、(2)マッサージ、(3)アレクサンダー・ テクニークの6回レッスン、(4)アレクサンダー・テクニークの24回レッスンの4つの処方 に分けて、それぞれの効果を3ヶ月後、12ヶ月後に検証。

効果を計る基準は、患者への症状に対するアンケート調査で、腰痛によりどの程度 生活・仕事で制約があったかを計るRoland Disability Scoreと呼ばれるものや、直近 1ヶ月間の腰痛のあった日数など、複数の結果を計測。

この結果、12ヶ月後では、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けた人の方が、 通常の医療やマッサージよりも改善したという結果が得られました。

※なお、(1)(2)(3)(4)のそれぞれのグループの半分の人が「看護士が推奨するエクササイズ」 を処方され、エクササイズとの組み合わせの効果も検証しています。6回ATレッスン+ エクササイズは、24回レッスンと同等レベルの効果があったとされています。

 
調査の主体

イギリスの政府機関であるNHS(National Health Service)とMRC(Medical Research Council) の予算で調査が実施され、イギリスのサウサンプトン大学・医療科学学部プライマリーケア 学科教授のポール・リトルらにより実施されました。 実際のサンプリング対象となる患者は 2002年から2年間にわたって集められました。

論文URL: http://www.bmj.com/cgi/content/full/337/aug19_2/a884

 

整形外科医 加藤良一先生による調査結果解説とコメント

慢性の腰痛にアレクサンダーテクニークが効果的
〜整形外科医からみたアレクサンダーテクニーク〜

整形外科医
加藤良一先生



私は整形外科専門医で 1994年から岐阜県可児市で開業しています。 趣味でフルートを吹いていますが、その関係から5年ほど前にアレクサンダーテクニークを知りました。レッスンを1回受け、整形外科の仕事の面からも興味を持ち、アレクサンダーテクニークの日本での出版物は全て読んできました。その後数回レッスンの聴講もしました。アレクサンダーテクニークは、初めは、よくある怪しげなものかと思いましたが、科学的、医学的に正しいものと判断し、現在まで整形外科診療に応用してきました。

私は、アレクサンダーテクニークは身体の使い方の指導、教育、訓練だと理解しています。合理的な体の使い方、姿勢を指導するものです。医師から見れば、疾患、痛みを起こさない身体の使い方、ということですね。整形外科医は解剖学、運動器の構造がわかっているので、その指導の応用がしやすいと思います。

今年2008年8月19日 ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルというイギリスの世界的な医学雑誌に素晴らしい研究結果が報告されました。慢性の、あるいは繰り返す腰痛に対して、アレクサンダーテクニークのレッスンが長期にわたって有効であることが証明されたのです。

実は、今まで、慢性の腰痛に長期間有効であると証明された治療法はほとんどありませんでした。腰を強化し安定させる運動指導が、ある程度効果があるらしいという程度でした。

今回の研究には約600人の慢性腰痛の患者さんが参加しました。

一般医による普通の治療だけ、マッサージ、6回のアレクサンダーテクニークレッスン(以下AT),24回のATの4つのグループに分け、さらにそれぞれを医師と看護婦の指導する体操(以下体操)をするグループと、体操なしのグループの2つに分けました。8グループの比較が行われました。

マッサージは週1回で6週間、6回のATは1ヶ月間、24回のATは7ヶ月間にわたって行われました。

治療開始前、治療開始後3ヶ月、治療開始後1年の、3つの時点で、 痛みによってできない活動の数、 4週間で痛みのある日数など、 が主に調べられました。 無作為比較試験という信頼できる研究方法が使われました。

要するに 慢性の腰痛に対して どの治療が、どれほど効果的なのか? 継続することで長期に有効なのはどれか? が調べられました。

主な結果は 治療開始後3ヶ月では、 一般医の普通の治療だけでは、ほとんど改善はありませんでした。 それに対して、マッサージ、6回のAT、24回のAT、体操全てが効果的でした。 この時点では、マッサージと6回のATは治療がすでに終わっています。24回のATは継続中です。 体操は、しないより、した方が効果がありました。 治療の効果は、24回のATが最も大きくて、以下、マッサージ、6回のATの順でした。

治療開始1年では、全ての治療が終了しています。 24回のAT指導は3ヶ月後より1年後、さらに状態の改善がみられました。 痛みでできない活動の数が10.7から4.6と半分に減り、4週間で痛みのある日数も28日から3日に減りました。 6回のAT指導でも同様の効果が1年後でも維持されました。痛みでできない活動の数は11から6.7と6割になり、痛みのある日数は28日から11日になりました。 体操は活動の数は改善しましたが、痛みの日数は3ヶ月の時(28日が11日に減少)と比べて効果は頭打ちで、それ以上減りませんでした。 マッサージは活動の数は改善しませんでしたが、痛みの日数は28日から14日に減りました。

24回のAT指導と体操の併用は、24回のAT指導単独と差はありませんでした。 一方、6回のAT指導でも、体操を併用すると、活動の数については24回のAT指導の72%の効果がありました。痛みの日数は体操併用でも、6回のAT指導単独(28日が10日に減少)以上には改善しませんでした。

結論として、24回のAT指導、6回のAT指導と体操の併用は慢性腰痛に長期的効果があることがわかりました。 マッサージは短期的効果はありますが、長期的効果はありませんでした。

私は整形外科は,いわば物理学であって、こわさなければ、また、こわすような体の使い方をしなければ体の痛みは起こらないと確信しています。

今、整形外科の世界では、運動療法(体操)の重要さが強調されています。しかしながら、まだ身体の使い方の指導については不十分であり、残念ながら、アレクサンダーテクニークは整形外科医にはほとんど知られていません。

この研究で体操の効果が3ヶ月で頭打ちだったのは、運動療法(体操)をしていても、体をこわせば、こわすような使い方をすれば痛みは再発するということだと思います。

一方、アレクサンダーテクニークを半年以上継続すれば、体操なしでも効果が十分あるというのは、体の使い方の大切さを示していると同時に、正しく体を使えば自然に体の筋肉を使って、体操を続けているのと同じような効果があるのではないかと推測します。つまり、よい姿勢をしていると、自然に腹筋や背筋を使うことになるからだと思います。

マッサージは短期的な効果はありますが、長期では効果は乏しいようです。 医師の処方する体操も効果があることが再確認されたのですが、それ以上に、アレクサンダーテクニークのレッスンを受けることで体の正しい使い方を知れば、従来の治療では改善しなかった慢性腰痛が、長期間にわたって大きく改善することが、今回の研究で証明されました。慢性腰痛によってできなかった活動が、3種類、再び、できるようになるのです。

私は、アレクサンダーテクニークが物理の法則と人間の心理学の両者にきちんと立脚していることから、この結果は当然のことだと理解しています。

なかなか治らない腰痛に悩んだ時、まずは整形外科で診察を受けてください。もし整形外科で重大な病気でないと診断され、どのように身体を使ったらよいかの説明が不十分だと感じたら、一時的、短期的な効果しかないマッサージを受けるのではなく、長期に効果が証明されたアレクサンダーテクニークのレッスンを受けて、正しい身体の使い方を身につけることが、より賢明であると私は思います。

<加藤良一先生のウェブサイト>
http://clinic.katohseikei.com